本日生命保険協会の会長に就任した永島英器氏(明治安田生命保険社長)の声明を基に、日本の長期国債金利の今後の動向について考察します。
永島会長は就任直後、財務省の有識者研究会が提言した国債発行の年限短期化に対し、生保業界における超長期国債への需要は今後も継続すると述べ、一定規模での発行継続を要望しました。
30、31日の日銀金融政策決定会合を控え、長期金利上昇による日本の長期債の大幅な金利上昇を予測する記事が増加しており、市場のセンチメントも長期債の利回り上昇方向に傾いているように見受けられます。しかし、あえて逆張り的な予想をするならば、生命保険会社の積極的な買いにより、利回りの上昇は抑制される可能性が考えられます。
この見方の根拠として、永島会長の声明に加え、今年3月に発表された住友生命の高田社長の「30年物で1.8%を超えれば今以上に積極的に進めていく」発言や、6月に発表された第一生命保険の有価証券報告書に記載された2024年3月期の平均予定利率が1.85%であることが挙げられます。それらを踏まえると、現在の日本の30年国債の利回り2.2%はALM(資産負債管理)の観点からも魅力的な水準にあると言えます。日銀が確かに50%程の国債を保有していますが、生命保険会社も15%程保有(GPIFの保有額を排除した保有率)しており、今後も積極的に買い続ける意向があるため、長期国債の利回り上昇が抑えられる可能性が高いです。
生命保険会社の旺盛な需要が、長期国債の利回り上昇を抑制する一因となり、現在の金利水準から大きく乖離し、2023年春から2024年春にかけて見られた劇的な利回りの上昇が再び起こる可能性は低いと推察されます。