五ヶ月ほど前から始めた減量計画は、概ね十キロの減量をもたらしました。この事実を契機として、巷にあふれている過激なダイエット手法「極端な絶食」や「これさえ食べれば痩せる」といった単純な処方箋を改めて省察すべきだと感じます。ダイエットは、しばしば主観的な努力や精神論に回収されがちですが、実際には一種の工学として扱うことが可能です。
たとえば、1kgの脂肪減少がおよそ7700kcalに相当するとされ、二週間で1kgを落としたならば、(7700kcal)/14 + 14日間の平均摂取カロリーでその期間における代謝を逆算することができます。そして、その推定代謝より毎日500kcal低い摂取量を維持すれば、一月2kg減量プロセスが成立します。
もちろん、代謝は定数ではありません。人間の身体は恒常性を有し、代謝が落ち込む時期もあります。そのような局面では、いわゆる「チートデイ」を設けるなど、定量的な代謝の把握をもとにした柔軟な対応が可能になります。
こうした定量化による戦略は、ダイエットにとどまらず、他分野へも展開できると考えます。たとえば、ビリー・ビーンが『マネー・ボール』で示したように、従来は経験則や感覚で評価されていた野球選手の価値を統計やデータによって再評価する手法は、あらゆる領域に応用可能です。私たちは、可視化・数値化・モデル化というアプローチを通じて、従来は漠然と語られてきた現象を再構築し、新たな可能性を開くことができます。