日経平均株価が史上最高値を超えました。株価は実体経済をとらえていないと、しばし批判を受けますが、株価とは経済に対する態度であり、心理状態の反映に他なりません。それがセンチメントとして現れ、経済の先を行くのは、実に自然なことです。センチメント、これがまた厄介で、なおかつ重要なのです。
経済の合理性を前提とすれば、金利を下げることで民間の借入が促進され、金利を上げることで企業はバランスシートを強化する傾向にあるという単純な関係が成立します。しかし、人間は単に経済合理性に基づいて行動するだけではない感情的な生き物であり、バブル崩壊後に見られたように、金利を下げてもバブル崩壊によるセンチメントの悪化から、企業が借入を控えて内部留保を積み上げるという現象が発生しました。これがいわゆる『失われた30年』の一因となりました。
そのセンチメントを転じさせんと、日銀による予想インフレ率の改善を図った量的質的金融緩和、また政府はアベノミクスという名のキャッチーな経済政策を導入しました。これらの政策は一定の効果を示しましたが、バブル崩壊後の凍てついた態度を十分に溶かすには不十分だったと言えるでしょう。
史上最高値を更新に至っても、シカゴ先物取引所のデータは、日経平均先物のドル建てでの機関投資家からの買いは、まだ限定的であることを示しています。なので、シカゴ先物取引所のデータを見る限りでは、まだ割高感はありません。また、Googleトレンドでの日経平均株価の検索数は平均的な数値で、以外にも一般人からの関心はそこまで高くないことを示唆しています。私は、史上最高値の更新が日本のセンチメントに良い影響を与えることを切に願っています。