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文系も理系も超えた思考

文系も理系も超えた思考

ある人が私に向かって、『私の文系脳では、あなたの言葉の意味が掴めない』と漏らしました。世の中には、文と理の境界線を引きがちな風潮がありますが、私はその差異はあくまで粒度の問題であり、上流に至れば至るほど文理の違いは霧散していき、何々学という物は、同じ大樹の異なる枝に過ぎず、その根本は一つであると思います。

文系脳、理系脳などという区別は、実のところ存在しえないのです。例を挙げるならば、統計学におけるベイズ統計の考え方は、歌道における本歌取りに通じるものがあります。異なる分野であっても、その根底にある思考のプロセスは、驚くほど似通っています。ベイズ統計学が事前の知識やデータに基づいて新しい情報を統合し、より確かな推測を行うプロセスであるのに対して、本歌取りは古典の歌を基に新たな歌を詠むことで、過去の知識を現在の文脈に適応させ、より一層深みを与えます。両者は、既存の知識をもとに新たな解釈や創造を行うという点で共通しています。

また文系と理系、それぞれが持つ方法を交え合わせることで、より豊かな世界観を構築できます。例えば、経済の動きを数式で解き明かす理系の手法と、文系が培ってきた文化や社会に対する深い洞察、これらが融合することにより、一層の理解へと繋がります。

結局のところ、この複雑で多様な世界を生きるにあたり、文系も理系も超えた思考が求められるのでないかなと思います。多角的な視点で学び枠組みを超えることにより、新たなアイデアや未踏の領域への尻尾を掴むことができるのです。





・私の文系脳では、あなたの言葉の意味が掴めない
何々脳だから解らないという言葉を容易に使えるようになった人類はどうなったのか、ただ馬鹿になったのである。

・上流
系統樹の上の方と言う意味です。

・ベイズ統計
ベイズの定理とかベイジアンネットワークとかです。ベイズ統計は、事前確率と観測データを組み合わせて、事後確率という形で結果の確率を更新していく手法に特徴があります。

・本歌取り
和歌の伝統的な技法の一つで、過去の有名な和歌を『本歌』として選び、その歌の一部の語句やテーマ、情緒などを引用しつつ、新たな和歌を詠む方法です。

・これらが融合
経済の動きを数式で解き明かす理系の手法と、文系が培ってきた文化や社会に対する深い洞察を融合させたのは行動経済学ってやつですね。経済学の数学モデルみたいな挙動は人間はしないので、そこに人間の心理学的なものを融合させて、より実態に近いものになりました。量子電磁力学なんて、いろんな学問がてんこ盛りです。