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読者の反応集とゲームセンター論

読者の反応集とゲームセンター論

友人と『どういったYouTubeを見ているか』という話題になりました。友人は最近、ワンピースの読者の反応集なるものを見ていると言っていました。しかも、作品よりも反応集の方が視聴時間が長いそうです。よくみると、数十万再生されている動画もちらほらありました。ただ、ネットの意見をゆっくりボイスのようなもので読み上げただけなのに。

この現象を考察するに、斎藤美奈子著の『文壇アイドル論』で論じられている、村上春樹文学のゲームセンター論をあてはめると理解が進むのではないかと思います。村上春樹というのは、浅読みも深読みもできる小説家です。村上春樹の批評は誰もがしたくなる、批評はいわば攻略本なのです。作品の中にさまざまな考察のエサがまかれていて、読者はそのエサをたぐり寄せ、作品の隠された裏技を見つけ出そうと、まるでゲームセンターのように必死になります。例えば『ノルウェイの森』の題名の理由を、『ビートルズの曲からノルウェイの森を村上が選んだのは、森が三本の木の漢字からできているからだ、三本の木が三人の複雑な関係を表している』といった具合に考察するのです。

ワンピースも村上春樹作品よろしく、浅読みも深読みもできます。ワンピースにはエンポリオ・イワンコフというキャラクターがいますが、この名前はイワン雷帝の名前から取ったのだろうと、私自身小学生の頃同輩に自慢していたことを思い出します(笑)。ワンピースもまた、作品にはエサが散りばめられているのです

ワンピースの読者の反応集は攻略本としての側面だけではなく、エゴがないというのに意味があるのだろうと思います。匿名性の高いゆっくりボイスが使われているため、発信者や読者のエゴが極限まで排除されています。そこには、知らない人間のエゴを見るときの妙な嫌悪感は存在しない、純粋な批評そのものがすーっと入ってくるのです。反応集なので、一批評に賭ける時間は長くても1分程度、次から次へと批評が入ってくるため、私たちの低い集中力にも照応します。

率直に言って、斎藤美奈子さんは頭良いなー、すげーって感じです。





村上春樹文学
村上春樹文学、実はそんなに読んだことないんですけどねー。ただ、グレートギャツビーの翻訳は村上春樹のが一番好き。村上文学ではなくて、村上春樹文学と記載したのは、W村上の村上龍とごっちゃにならないようにです。

ビートルズの曲からノルウェイの森
イエスタデイやレット・イット・ビーは、もともと知っていましたが、ノルウェイの森は村上春樹で知りましたねー。

この名前はイワン雷帝の名前から取ったのだろう
モスクワ大公です。ナイトミュージアム2にて、悪役としてイワン雷帝がでてくるので、それで知りました。

・ワンピースもまた、作品にはエサが散りばめられているのです。
散りばめられた情報をもとに、モサドもびっくりのインテリジェンスを披露されている方もいますよね(笑)。ラスボスは山賊ヒグマらしいです。