久しぶりに、『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』を読み返しました。この作品は、経済ジャーナリストマイケル・ルイス氏の手になる実録の書籍です。2008年の世界金融危機に至る過程を詳しく追跡し、その危殆に先駆けて果敢にも弱気を貫き巨額の利益を上げた異端の投資家たちの物語を描いています。サブプライムローン危機の発端から、それが如何にして大手金融機関を巻き込み、遂には地球全体を揺るがす大禍となったか、事の次第を克明に追っています。
その中で、スティーブ・アイズマンら異端児投資家たちの個性にも焦点を当てています。彼らの金融界の型にはまらない生き様から如何にこの危機を予見し、弱気投資に邁進し、巨万の富を成したのかが、生々しい人間ドラマとして描かれています。中学生の頃、初めてこの本を読んだ際は、丁度私もまた世俗から離れた日々にありました。そのため、異端児投資家たちの行状に、自己を投影し得た想い出があります。昔日の面影の回顧や憧憬、自己探究の熱い思いで、胸がいっぱいになりました。
・事の次第
サブプライムモーゲージ関連デリバティブや、その背後にある数理モデル、市場の心理といった要素です。