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次期財務長官ベッセント氏

次期財務長官ベッセント氏

ドナルド・トランプ政権の行方を巡る議論が注目される中、次期政権の閣僚の顔触れについても様々な見解が飛び交っています。その中で、トランプ次期大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏の経歴には特筆すべきものがあります。彼はかつて著名なヘッジファンドマネージャーとして名を馳せ、ジョージ・ソロス氏が率いるソロス・ファンド・マネジメントのロンドンオフィスでヘッドを務めた人物です。

ベッセント氏は、特に1992年、割高だった英ポンドをソロスの右腕として売り崩したことで世界的に知られています。そのベッセント氏が、来年から為替市場の防衛という立場に回ることには、皮肉とも言える運命の妙を感じざるを得ません。これもまた、米国の債務問題が急を要する課題となり、財務と為替、さらには金融市場を熟知し、売り崩しの経験を通じて市場の裏表を知り尽くした人物だからこそ求められた結果なのでしょう。

思えば、ジョージ・W・ブッシュ政権下のヘンリー・ポールソン氏から、トランプ政権のスティーブン・ムニューシン氏、そして新たに指名されたベッセント氏まで、共和党政権においては財務長官に金融街出身者が続けて起用されてきました。ポールソン氏はゴールドマン・サックスのCEOを務めた経歴を持ち、ムニューシン氏も同社のパートナーを歴任した人物です。こうして3人連続でウォール街出身者が財務の舵取りを担うという事実は、近年の共和党が金融界との結びつきをいよいよ強めつつあることを象徴しているようにも見えます。

しかしながら、共和党政権下で度重なる経済的混乱の記憶を忘れるわけにはいきません。規制緩和と市場主義のせいか、もしくは偶然か、陰謀か、エンロンの破綻、リーマンショック、など、大きな問題がことごとく共和党の時代に表面化しました。かつて読んだポールソン氏の回顧録を思い出し、彼がリーマンショックの最中に奔走した姿が脳裏に浮かびます。何事もなければそれに越したことはないですが、それだけに、次期財務長官となるベッセント氏が、何らかの運命的な試練にどのように向き合い、いかに舵を切るのか、注視せずにはいられません。時代の行く末を静かに見据え、心して刮目したいと思うのです。