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吉行文学

吉行文学

最近よく、吉行淳之介作品を読んでいます。彼の文学は、学会の黒木香こと上野千鶴子さんを筆頭にフェミニストから全否定されています。確かに、しばしば吉行文学で見られる男の美学を、時代遅れの陳腐で不毛なストイシズムと一蹴するのは簡単です。しかしながら、女性を鏡として初めて男性の存在が浮かび上がるその様相において、吉行文学は川端康成等を源流とする新感覚派の系譜を継ぐのではないかと存じます。吉行文学は、私小説の体裁を取りながらも、ロマン主義的な破滅の自己陶酔に寄りかかることも無いです。

装飾された文章でありながら、中二病を想起させるような幼稚さを感じさせない文体は、端的に言って非常に好きです。

また、吉行淳之介さんのパートナーである宮城まり子さんのエッセイ集も読んでいますが、純愛と言いますか、ぐっとくるものがあります。





・吉行文学
代表作である『暗室』や『驟雨』で見られる、回収しない伏線たちも吉行文学の特徴ですね。