シュルレアリスム100年映画祭が10月5日から開催されるという情報が私のスマホのおすすめに流れてきました。非常に面白そうです。
シュルレアリスムは、アンドレ・ブルトンが1924年に『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』を上梓したことから始まりました。フィリップ・スーポーなどの文学者を経た後にサルバドール・ダリなどの芸術家によって爆発的に影響力を強めた20世紀最大の芸術運動です。
私は、シュルレアリスムに代表される超現実を、優れた詩人のみが捉えることのできる本質の世界だと考えています。それは、芥川龍之介が『文芸的な、余りに文芸的な』で論じた色彩に生命を託した最も詩に近い小説という概念に当たらずといえども遠からずだと認識しています。
シュルレアリスムの本質は、夢のように自分自身の要素が抜け落ちて、物だけが脈絡もなく連なっていく感覚にあります。自動記述におけるその神秘的な感覚は、夏目漱石の『夢十夜』にも通じるものがあります。運慶が護国寺で仁王を彫る場面です。作品が本質を要請することで作者の死を引き起こし、結果として作品自体に導かれる形で運慶は仁王像を彫りました。
夏目漱石はシュルレアリスムのくくりで語られることはあまりありませんが、その本質を捉えていた作家だったのではないかと、改めて感嘆させられました。要因は他にもありますが、そりゃ文学者としての評価も高くなるなーと。
10月5日の映画祭まではまだ時間があります。それまでにシュルレアリスムについての素養を高めていこうと思います。