著名なインターネット企業の共同創業者のOさんとお話しする機会がありました。過去19年間、多くの人々との交流を経験してきましたが、Oさんとの会話は特に印象深く、楽しい時間でした。(といってもまだ19年ですが)
私たちの会話は、世界を計算可能な状態にするという、壮大かつ哲学的なテーマに及びました。数学が現実の具体的な問題解決に役立つ「形而下」の学問と見なされる一方で、板垣足穂やデカルトの思想に見られるように、数学は「形而上」の領域にも位置しており、より抽象的で、哲学的な次元の学問でもあります。また、Oさんから頂いた「自分が本当に作りたいものを追求しなくなった企業に成功の例はない」という言葉は、他人から理解されず、否定的な意見に直面した音楽著作権の分配請求権の証券化などの、一度は諦めかけたプロジェクトに再挑戦する勇気を私に与えてくれました。